IC.IDO導入事例 Bombardier社

Virtual Reality
Ground Transportation

「IC.IDOモジュールを用い、仮想空間において車両を体験していただくことは、顧客との関係および設計管理の観点から、十分に満足のいく、革新的な方法でした。複雑なデザインのモデルを非常に分かりやすい方法で検証することができ、プロジ ェクトおよび顧客に対しても時間とコストの大幅な削減をすることができました。またESIは、短時間でこの顧客との検証を実施するためのオンサイトサポートも提供してくれました。」

Christophe Tilan氏 Project Manager Rolling Stock for the Riyadh metro project

仮想車両を用いた仕様提案で鉄道建設プロジェクト獲得に貢献

 

課題

ボンバルディアは、ロータリー2両編成モデルである47 INNOVIA METRO 300をサウジアラビアの地下鉄に供給するというとても注目度の高い契約を勝ち取りました。この際、首都リヤドの「2018年開通時に世界一の地下鉄道システムを作る」という大きな期待がありました。しかし状況は厳しく、競合会社2社は全く同じデザインの車両で同市内の他の地下鉄で契約を交わしている状況で、その上でボンバルディアを含む3社には まったく同じ工期が指示されました。 総計3億8千500万ドルの契約と将来のビジネスのために、高度の基準を工期通りに実現できることを証明する必要がありました。当然のことながら、競合会社を上回るには、期待以上の技術を求められます。そこでボンバルディアはESIのVR技術を活用して、その技術を証明することにしました。

 

 導入による効果

  • 仮想検証の結果を用いて、設計初期段階で修正することで時間とコストを削減

  • 既存のCADデータから、美しく機能的な1:1スケールのVRモデルを作成した

  • 契約初期段階で信頼関係を築き、決裁者の承認を得た

  • ボンバルディアの技術が最先端であることを証明した

  • VRを活用した車両紹介イベントでマスコミが注目することにより、高い宣伝効果を得た

 

背景

ボンバルディアは長年ESIのIC.IDOを使用しています。会社のCATIA V5で作成したデータがPLMを通じてIC.IDOに表示されるまでの過程は非常にスムーズです。
「開発された車両を高解像度のパワーウォールで見ることができ、さらには触れることすらできます。」とHelmut Dietz氏(Head of Digital Manufacturing / Bombardier Transportation)は語っています。IC.IDOの仮想的な試作と製作により、製品ライフサイクルから無駄を省くことができました。「これにより、製品の開発とインストールの手順は加速し、最適化され、また一部は廃止されることになるでしょう。」とDietz氏は説明します。また、世界中のさまざまな場所で行われるリアルタイムレビューでは、より正確で、迅速な決断を可能にします。
このようにして、IC.IDOはボンバルディアのエンジニアリングプロセスに変化を与えました。そして、実物が存在しない、段階の車両についてお客様と会議をする際のサポートとしても、IC. IDOを活用することに決めました。
「社内では全員、設計確認、製造性、アクセシビリティ、人間工学、またメンテナンス性においてもバーチャル・リアリティが有効であることを理解しました。また、社内でのコミュニケーションに役立つのなら、お客様とのコミュニケーションにも役立つはずだと、活用の幅を広げました。」と、Cristophe Tilan氏(Project Manager Rolling Stock / Riyadh Metro project)は説明します。

Fig.1 IC.IDOで見た仮想車両の内部

ボンバルディアは、自社の車両品質の高さ・精巧さを、決定権を持つ州知事をはじめとした行政関係者へより分かりやすく伝えるため、VRモデルをサウジアラビアに持ち込むことにしました。ボンバルディア社内でのバーチャル・エンジニアリング・モデルは精巧でしたが、車両モデルの審美性をより高めるため、またよりリアルにするために、材質の表面や照明など光の表現をESIに依頼し、強化されました。
サウジアラビアのオーディエンスにリアルタイムでVRモデルを実際に動かしてみてもらうために、ドアと荷物棚の開閉を可能にし、様々な視点から検証できるものにしました。
仮想検証では、車両下部にあるケーブルシステムのような、通常見ることができないところまで立ち入ることができます。 4m×3mのパワーウォールをドイツから運搬してリヤドで組み立てるのは至難の業でした。「ESIはこのプロジェクトを成功させてくれると信じていました。この検証の重要性を理解し、期待通りの結果をもたらしてくれた」とTilan氏は言います。
現地でのIC.IDOによるレビューでは、 参加者から多くのフィードバックを得ることができました。

Fig.2 IC.IDOで見た仮想車両の内部(材質・光の表現の強化後)

ESIのオペレーターが指示に合わせて車両動作をコントロールし、1人が追跡式のマスター3Dメガネをかけ、その他20人のオーディエンスも、動作リクエストできるよう3Dメガネをしました。
また、ボンバルディアはタブレットのジャイロセンサーを活用し、事前に設定した仮想車両の6箇所において360°レビューを提供しました。

Fig.3 仮想車両モデルのデモンストレーション

参加者は、車両内の人の流れを改善するための変更案を即座に見出すことができました。「早い段階で欠陥を発見し設計変更することが、時間とコスト削減につながるのは明確です」とTilan氏は説明する。「私たちが得たフィードバックは想像以上にポジテ ィブで、IC.IDOを活用したレビューにより、お客様の期待を超えることができました。この経験をもとに、将来の新しい契約においても、IC.IDOを活用したお客様とのコミュニケーションを、標準化して実施していくことを決めました」