PAM-STAMP導入事例 PSA プジョー・シトロエン社

Sheet Metal Forming
Ground Transportation

 

PSA プジョー・シトロエン社は、自動車組立ラインにおけるロール・ヘミングのシミュレーションにPAM-STAMP を活用しました。.

プレス成形解析統合ソリューション
使用ソフト:PAM-STAMP

 

自動車組立ラインにおけるロール・ヘミングのシミュレーションにPAM-STAMP 2Gを活用

 

前提

ロール・ヘミングとは、1枚の板金の端を折り返し、さらにもう1枚の板金の端を覆うことで、板金どうしを密接に接合する、板金組立の工程です。

 

概要

自動車メーカーPSAプジョー・シトロエン社は、従来のテーブルトップ・ヘミング工程に代わって急速に普及しつつあるロール・ヘミング工程に対応するために、PAM-STAMP をベースにした新しいシミュレーション・ツールをESIと共同開発しました。こうして現場での意思決定プロセスを支援するリアルなシミュレーション・ツールが完成しました。

 

効果

  • 現場ニーズに対応した共同開発

  • プロセス指向のカスタム・ツール

  • ソフトウエア補正による工程オプション

 

「PAM-STAMP には、PSAのヘミング加工担当者の作業に必要な、最先端の物理特性パラメータが組み込まれています。生産・設計の現場での実例を元に検証されており、今や製品定義の適切さや工程の信頼性を確保するために不可欠のツールです」 PSAプジョー・シトロエン社社組立加工部門研究開発マネージャー Patrice Auger氏

 

加工方法の変化が新たなニーズを生む

ドア部のロール・ヘミング加工

PSAプジョー・シトロエン社は、自動車の開口パネル組立技術において、従来のテーブルトップ方式に代わり、ロール・ヘミング方式が、将来の主流技術になると予測しました。そのとき必要になるのは、適切なシミュレーション・ツールですが、当時そうしたツールは販売されておらず、PSAプジョー・シトロエン社は、PAM-STAMPをベースにした新たなツールをESIと共同開発することを決断しました。

 

 

 

 

複雑な軌道

このツールに期待したことは、プレス成形の途中で生じる変形やしわなどの不良を予め予測すること、そして正確な材料成形が行えるよう、複雑な軌道に対応し、様々なロール・プロフィールに適応できることが求められました。それが実現すれば、開発の初期段階でドア、ボンネット、バックリッド、トランクなど各種コンポーネントが正確に設計できます。共同開発は1年半に及びました。

 

 

 

 

カスタマイズされたプロセス指向シミュレーション・ツールの共同開発

このツールを開発するために、PSAプジョー・シトロエン社とESIは、開発データや現場ニーズなどを情報共有し、さらにプロトタイプの物理テストを実施し、シミュレーションと生産現場での現実とのすりあわせを行いました。 こうしてプロセス指向のソフトウエア・ソリューションが誕生しました。このソフトウエアの入力パラメータは、ロール・プロフィール、ローラー角、軌道などであり、数値上の計算だけでなく、現実の問題への回答を提示できます。このソフトウエアは、ヘミング加工のプロのニーズを十分に考慮しており、ヘミング加工ステーションの設計や微調整を行う技術者に最適です。

 

実業への応用

最適化の前と後のフェンダー先端部のシミュレーション

まず、当時、開発中だった自動車のフェンダーに対し、ロール・ヘミングのシミュレーションを実施しました。その設計では、フェンダー端部の閉じ径が小さすぎるという問題がありましたが、シミュレーションにより軌道を再検討した結果、「ロール・ヘミングの軌道を、プレス加工される側面の形状を変えてから、再適応させる」という解決策に至りました。こうして目標どおりの側面閉じが実施できました。

次に、「フェンダーの先端の半径が小さすぎるため、不要なバリやしわが生じる」という問題に取り組みました。この問題を解決するため、PAM-STAMPによるシミュレーションを数度繰り返し、側面の高さとローラーの軌道を検討し、目標により近いアセンブリーを実現し、しわやバリを無くすことに成功しました。このシミュレーションにより、物理的なツールをまったく使用することなく、生産工程を設定するための基本的なやり方が確立できました。

 

 

 

使いやすいインターフェース

Straightforward user-friendly interface

「PAM-STAMP の導入により、複数の製品や工程をテストし、技術的な選択肢の方向性を早い段階で示せるようになりました。以前は、物理的なテストを行わざるをえず、大規模な設計変更が必要な場合でも、テストが間に合わないこともありましたが、今は、設計の初期段階から、堅牢なプロセス定義のための意思決定支援の手段があり、助かっています」

Joelle Garabed、PSAプジョー・シトロエン社社、デジタルおよびシミュレーション・プレス加工部門技術リーダー

 

 

 

継続的なパートナーシップ

共同プロジェクトの第1段階を終えた後、PSAプジョー・シトロエン社は、今後、開発の初期段階から、この新しいツールを活用できるよう、上流工程の設計部員だけでなく組み立て担当者にもトレーニングを施しました。また他のチームでは、このシミュレーションを、標準工業化プロセスに統合する作業に取り組んでいます。こうしたソフトウエア開発の成果は、PAM-STAMPバージョン2009に反映されており、PSAプジョー・シトロエン社とESIの共同開発は第2段階へと進んでいます。今後も両社は、このソリューションの可能性を高めていきます。